海外ドラマや海外のバラエティ番組を見ていると、
「Don’t roast me.(ローストしないでよ)」
「He totally roasted you.(完全にいじられてたよ)」
といったセリフが出てくることがあります。
最初に聞いたとき、「roastってローストチキンのroastでしょ?なんで人に対して使うの?」と
不思議に感じる方も多いと思います。
実はこの「roast」は、料理用語から発展した“いじり・からかい”を表す英語スラングなんです。
この記事では、
「roast」の基本の意味から、
スラングとしてのニュアンス、
海外ドラマやSNSでのリアルな使われ方、
関連するスラングまでまとめて詳しく解説します。
英語スラングに初めて触れる方にもわかりやすいように、できるだけやさしい表現でご紹介していきますね。
英語スラング「roast」とは?ドラマでよく聞くあのセリフの本当の意味

「roast」の基本の意味(料理用語)と日本語訳
まずは、スラングではない「roast」の意味からおさえておきましょう。
英語の「roast」には、もともと次のような意味があります。
- 動詞:肉や野菜などをオーブンや直火で「焼く」「ローストする」
- 名詞:ローストした料理そのもの(roast chicken / roast beef など)
たとえば、
- We’re having roast chicken for dinner.
→ 夕食はローストチキンだよ。 - I’ll roast some vegetables.
→ 野菜をローストするね。
このように、本来の「roast」はあくまで「料理」のイメージ。
ここから比喩的な使い方が広がって、スラングとしての意味が生まれていきました。
スラングになると意味が一変!「強めにいじる・からかう」イメージ
スラングとしての「roast」は、
人を言葉で“こんがり焼く”ようにいじるイメージです。
日本語にするなら、次のようなニュアンスが近いです。
- 強めにいじる
- おもしろおかしくからかう
- 辛口ジョークでボコボコにする
たとえば、友達がちょっとダサい失敗をしたときに、周りが冗談交じりにいろいろ突っ込んでいるような場面ですね。
- Everyone was roasting him for his old phone.
→ みんなが、彼の古いスマホをネタにしていじりまくっていた。 - Don’t roast me, I just woke up.
→ いじらないで、起きたばっかりなんだから。
「roast」と単なる悪口との違い
ここで大事なのが、「roast」は基本的に“笑い”の文脈で使われるという点です。
本気で相手を傷つけるような悪口ではなく、
その場にいる人たちが笑って楽しめる範囲での辛口ジョーク
であることが前提になっています。
もちろん、どこからどこまでが「冗談」で、どこからが「やりすぎ」なのかは人によって違います。
そのため、スラングを使う側には、相手との距離感や場の空気を読むことが求められます。
このあたりの注意点は、後半の「使うときの注意ポイント」でくわしく触れていきますね。
「roast」がスラングになった背景とアメリカ文化とのつながり
ニューヨーク・フライヤーズクラブの「ロースト」文化
「roast」という言葉は、もともとアメリカのコメディ文化の中で発展してきたと言われています。
20世紀前半、ニューヨークのフライヤーズクラブ(New York Friars Club)という団体で、
メンバー同士が集まって特定の人物を冗談交じりにからかう「ロースト」のイベントが行われていました。
イベントの主役となる人(ゲスト・オブ・オナー)がいて、その人を囲む仲間たちが、
日頃の言動や性格、ちょっとした失敗などをネタにして、次々とジョークを飛ばしていきます。
もちろん、単に悪口を言うだけではなく、最後には感謝や敬意を込めたスピーチもあり、
「愛のあるいじり」として楽しまれてきました。
「Comedy Central Roast」で一般にも広く知られるように
その後、この「ロースト」文化はテレビ番組として取り上げられるようになり、
特に有名なのがアメリカのテレビ局Comedy Centralで放送された
「Comedy Central Roast」シリーズです。
俳優や歌手、コメディアンなどの有名人をゲストに迎えて、
人気コメディアンたちが次々と辛口ジョークを浴びせるスタイルが話題になり、
「roast」という言葉が一般の視聴者にも一気に浸透していきました。
「We only roast the ones we love.」という考え方
ロースト文化の中で、よく「We only roast the ones we love.(愛している人だけをローストする)」という考え方が語られます。
これは、ローストは“好きな人だからこそ”できるジョークだという価値観を表しています。
もちろん、現実には受け取る側が傷ついてしまうこともありますし、
番組やイベントによっては「やりすぎでは?」と議論になることもあります。
それでも基本的な前提としては、
相手への敬意や好意があるうえでの“辛口のお祝い”という位置づけになっていることを知っておくと、
言葉の背景がより理解しやすくなります。
海外ドラマに登場する「roast」の実例とニュアンス
よくあるセリフパターン「Don’t roast me」「You roasted him」
海外ドラマや海外のトーク番組では、次のようなフレーズがよく登場します。
- Don’t roast me, okay?
→ ねえ、そんなにいじらないでよ? - He roasted you in front of everyone.
→ 彼、みんなの前であなたのことかなりいじってたよ。 - She always roasts her brother about his fashion.
→ 彼女はいつも弟のファッションのことをネタにしていじっている。
これらはすべて、
その場にいる誰かを、面白おかしく“ネタにしている”状態を表しています。
雰囲気としては、日本語の「いじる」「イジりがきつい」「容赦なくツッコむ」に近いですね。
字幕ではどう訳されている?よくある日本語訳パターン
日本語字幕では、作品や翻訳者によって訳し方が変わりますが、
「roast」が使われる場面では、たとえば次のような訳があてられることが多いです。
- からかう
- いじる
- こき下ろす
- ボロクソに言う
- 毒舌でいじる
同じ「roast」でも、シーンの雰囲気が軽いコメディなのか、
ちょっとシリアスでキツい場面なのかによって、日本語のトーンも変わってくるのが特徴です。
キャラクター同士の距離感を表す「roast」
ドラマの中で「roast」が頻繁に飛び交うのは、
キャラクター同士の距離が近い関係であることのサインでもあります。
親友同士、兄弟、長年の同僚など、お互いのことをよく知っているからこそ言える冗談、というイメージです。
逆に言うと、まだ出会ったばかりの相手に対していきなり「roast」し始めると、
視聴者としても「ちょっと失礼かも?」と感じることがあります。
その“空気の違い”を感じられるようになると、海外ドラマの会話がぐっと楽しくなりますよ。
SNSや日常英会話で「roast」を自然に使うコツ
Twitter・YouTube・Redditでの「roast」の使われ方
SNS上では、「roast」は日常的によく使われる言葉です。
特に、コメント欄で誰かをネタにしたり、ツッコミ合戦が起きているような場面で登場します。
- The comments are roasting him.
→ コメント欄が彼のことをめちゃくちゃいじってる。 - Roast me!
→ さあ、いじって!(意図的に「いじっていいよ」と募集する投稿)
海外の掲示板やRedditなどでは、「roast me」というテーマのスレッドやコミュニティもあるほどで、
自分の写真やエピソードを投稿して「好きなだけいじってOK」と自らネタにしてもらう文化もあります。
「roastしていい?」とお願いする言い方
仲の良い友達同士で冗談を言うときに、
- Can I roast you for a second?
→ ちょっとだけいじってもいい? - Okay, don’t be mad, but I have to roast you for this.
→ 怒らないでね、でもこれはどうしてもツッコませて。
のように一言添えると、「今からジョークですよ」という合図になり、空気を和らげやすくなります。
「roastされた」ときのやさしい返し方・リアクション表現
もし自分が「roastされた側」になったとき、軽く受け流すリアクションを知っておくと便利です。
- Ouch, that was a good roast.
→ うわ、それはいいツッコミだわ…。 - Okay, I deserved that.
→ それは言われても仕方ないね。 - That was brutal, but fair.
→ かなりキツいけど、まあ正論だね。
ほどよく笑いに乗ってあげると、場の雰囲気もやわらかくなり、
「ジョークとして受け取っていますよ」というサインにもなります。
「roast」「roasted」「roasting」の文法とニュアンスの違い
動詞・形容詞としての「roast / roasted」
スラングとして「roast」を使うときは、基本的に動詞として使います。
- They roasted him.
→ みんなで彼をいじり倒した。 - Don’t roast me.
→ いじらないで。
また、「roasted」は形容詞のように使われることもあります。
- I got completely roasted in the group chat.
→ グループチャットで完全にいじられまくった。 - That joke was so brutal, he’s roasted.
→ あのジョークはキツすぎて、彼はもう“焼けこげ”状態だね。
進行形「roasting」で“今まさにいじっている”感じを出す
「roasting」は現在進行形で、今まさに誰かをいじっている最中というイメージです。
- They’re roasting him right now.
→ 今まさに彼のことをいじってる。 - Stop roasting her, she’s already embarrassed.
→ もうその子をいじるのやめてあげて、十分恥ずかしがってるから。
例文でまとめてチェックしよう
3つの形をまとめて比べてみましょう。
- Don’t roast me.
→ 動詞:いじる行為そのもの。 - I got roasted.
→ 過去形:いじられた結果の状態。 - They’re roasting him.
→ 進行形:今まさにいじりが進行中。
この3パターンを押さえておけば、海外ドラマのセリフで出てきたときも、
だいぶ意味がつかみやすくなります。
一緒に覚えておきたい「roast」関連スラング
「burn」「diss」「shade」の違い
「人を言葉でいじる・批判する」という意味では、ほかにもいくつかスラングがあります。
似ているようでニュアンスが違うので、ざっくり覚えておくと便利です。
- burn
相手に「痛い一言」を決めるイメージ。
例:That was such a burn.(今のはかなりグサッとくる一言だったね) - diss
「disrespect(無礼)」が元になっていて、侮辱・悪口に近い強めの表現。
例:He’s always dissing people.(彼はいつも人の悪口ばかり言っている) - shade
遠回しにイヤミを言うイメージ。ストレートではない分、じわっとくる皮肉。
例:She was throwing shade at her ex.(彼女は元カレに遠回しのイヤミを言っていた)
「roast」は、これらよりも“みんなでワイワイ盛り上がる”冗談寄りとして使われることが多いです。
反撃スラング「clap back」「drag」「call out」
「roastされた側」がやり返すときに使われるスラングもあります。
- clap back
言い返す、反撃する。
例:She clapped back with an even better joke.
→ 彼女はもっとおもしろいジョークで言い返した。 - drag
ボコボコに批判する・こき下ろすイメージ。
例:The internet dragged him for his comments. - call out
問題点を指摘して公に批判する。
例:People called him out for his rude behavior.
SNSでは、これらの単語が組み合わさって使われることも多いので、
「雰囲気として、かなり辛口なやり取りなんだな」と理解できればOKです。
失礼になりすぎないための使い分け
「burn」「diss」「shade」「drag」「call out」などは、
文脈によってはかなり強い批判になることもあります。
英語にまだ慣れていないうちは、まずは意味を理解するところから始めて、
自分から使うときは控えめな場面や親しい相手だけにしておくと安心です。
「roast」を使うときに気をつけたいポイント
親しい相手に限定した方が安心な理由
「roast」は、基本的に“仲の良い相手に冗談として言う”言葉です。
まだ距離感がつかめていない相手や、関係性が浅い人にいきなり使ってしまうと、
相手が「バカにされた」と感じてしまうこともあります。
英語圏の人同士でも、
「この相手ならこのくらいのジョークはOK」
「この人にはちょっと控えめにしておこう」
といった、細かな気づかいがされています。
見た目やコンプレックスは避けるのが無難
冗談であっても、相手のコンプレックスになりそうな部分をネタにするのは避けたほうが安心です。
見た目・家族・仕事の事情などは、人によっては触れられたくないテーマです。
どうしても「roast」を使ってみたい場合は、
自分のちょっとした失敗や、あきらかに軽いネタ(服装のちょっとしたミスなど)にとどめると、
お互いに笑って終われる可能性が高くなります。
ネイティブ同士のノリをそのまま真似しない
海外ドラマやSNSでは、かなり辛口で激しい「roast」や「diss」が飛び交っていることもあります。
ネイティブ同士だからこそ成り立っているノリも多いので、
そのまま真似をするのではなく、「そういう表現もあるんだな」と理解するところから
始めるのがおすすめです。
まずは、ドラマや動画を見ながら、
「今のセリフは冗談として言っているのか?」「相手はどうリアクションしているか?」と
観察してみると、英語だけでなく文化の違いも少しずつ見えてきますよ。
まとめ:roastを知ると海外ドラマと英語がもっと楽しくなる
今回は、海外ドラマやSNSでよく見かける英語スラング「roast」について、
基本の意味から文化的な背景、実際の使われ方、関連スラング、そして注意点までまとめてご紹介しました。
- もともとの意味は「焼く」「ローストする」という料理用語
- スラングでは「強めにいじる・からかう」ニュアンスで使われる
- アメリカのコメディ文化や「Comedy Central Roast」などの番組を通して広く知られるようになった
- 海外ドラマやSNSでは、仲の良い人同士の冗談として頻繁に登場する
- 「roasted」「roasting」といった形もあわせて覚えると理解がスムーズ
- 「burn」「diss」「shade」など、似たスラングも一緒に押さえておくと便利
- 使うときは、相手との距離感やコンプレックスに配慮することが大切
「roast」の意味を知っておくと、
海外ドラマのセリフがぐっとわかりやすくなり、登場人物同士の関係性もより深く楽しめるようになります。
英語に触れる時間が増えてきたら、ぜひ意識して「roast」という単語を探してみてくださいね。
少しずつスラングの意味がわかるようになると、英語の世界がもっと身近に、そして楽しく感じられるはずです。

