「令」という漢字を書こうとしたとき、パソコンやスマホに表示される形と、学校で習った形が違うことに気づいたことはありませんか?
特に迷いやすいのが、「令」の下の部分です。印刷された文字では少し複雑な形に見える一方、手書きではカタカナの「マ」に近い形で書くことがあります。
「どちらが正しいの?」「手書きで『マ』のように書いても大丈夫?」「学校のテストではどちらを書けばいい?」と気になる方もいるでしょう。
結論からいうと、「令」は印刷文字と手書き文字で形が違って見えることがあり、よく見かける2つの形はいずれも同じ「令」の字体として扱われます。
ただし、「令」の字形が厳密に2種類だけという意味ではありません。手書き文字には細かな違いがあり、フォントによっても見え方が変わります。
この記事では、「令」の書き方について、印刷文字と手書き文字の違い、フォントによる見え方、学校で書く場合の考え方、書き順やきれいに書くコツまでわかりやすく紹介します。
「令」の書き方が2通りに見えるのはなぜ?

「令」は、普段の生活の中で大きく2通りの形を見かけることがあります。
よく見かける「令」の違い
- パソコン・スマホ・新聞などで見かける印刷文字の「令」
- 下の部分を「マ」に近い形で書くことがある手書きの「令」
見た目が違うため、「片方は間違いなのでは?」と思いやすいところですが、印刷文字と手書き文字には、それぞれの表し方の習慣があります。
よく見かける「令」の2つの形を確認
「令」で特に違いが分かりやすいのは、文字の中央から下にかけての部分です。
| 見かける場面 | 特徴 |
|---|---|
| 印刷文字 | 明朝体など、パソコン・スマホ・印刷物でよく見かける形 |
| 手書き文字 | 下の部分を「マ」に近い形で書くことがある |
ただし、この2つしか存在しないという意味ではありません。
手書き文字には細かな字形の違いがあり、書く人や書体によって見え方が変わることがあります。
ポイント
「令には2種類しかない」というより、日常では代表的な2つの形の違いが目立ちやすいと考えると分かりやすいでしょう。
形が違って見えても同じ漢字として扱われる
文化庁の「常用漢字表の字体・字形に関する指針」では、手書き文字と印刷文字の形には違いがあり、一方だけが正しいわけではないという考え方が示されています。
「令」は、その違いを説明するときに例として取り上げられている漢字のひとつです。
そのため、パソコンに表示された「令」と、手書きで「マ」に近い形に書いた「令」が違って見えても、それだけで片方を間違いと判断する必要はありません。
まず知っておきたい「字体」と「字形」の違い
「令」の違いを理解するうえで知っておきたいのが、「字体」と「字形」という言葉です。
同じ字体でも、実際に手で書いたり、異なるフォントで表示したりすると、細かな形には違いが生まれます。
「令」は、こうした「字体は同じでも字形が違って見える」という特徴を理解しやすい漢字のひとつです。
「令」はどちらの形で書いても正しい?

よく見かける印刷文字の「令」と、下を「マ」に近い形にした手書きの「令」は、どちらか片方だけが正しいというものではありません。
「パソコンに表示される形と同じように書かなければ間違い」というわけではありません。
手書きには、手書きならではの字形があります。
手書きでは「マ」に近い形も使われている
「令」を手書きするとき、下の部分をカタカナの「マ」のような形で書いた経験がある方も多いのではないでしょうか。
この形は、単に書き手が勝手に省略しているものではありません。
文化庁の資料でも、「令」は手書き文字と印刷文字の形の違いを示す例として挙げられています。
つまり、「マ」に近い形も、手書きの「令」として使われる字形のひとつです。
印刷で見かける形だけが正解ではない
パソコンやスマホを使う時間が長くなると、画面に表示される漢字の形を「本来の正しい形」と感じやすくなります。
しかし、印刷文字と手書き文字では表し方の習慣が異なります。
文化庁も、情報機器などの画面に表示される文字を含めた印刷文字と、手書き文字の違いについて説明しています。
そのため、印刷文字とまったく同じ形に手書きできていないからといって、ただちに誤字になるわけではありません。
「略字」「間違った漢字」とは別のもの
「マ」のように見えるため、「簡単に書くための略字なのかな?」と思うかもしれません。
しかし、ここで取り上げている手書きの「令」は、自己流に画数を減らして作った略字という意味ではありません。
同じ「令」という字体が、手書きでは異なる字形として現れていると考えるのが分かりやすいでしょう。
自己流の崩し字とは区別して考える
ただし、「どのような形に崩しても令として認められる」という意味ではありません。
細かな形に違いがあっても、その漢字として認識できる骨組みが保たれていることが大切です。
書類などに書くときも
「マ」に近い形の「令」を書いたからといって、別の漢字になるわけではありません。印刷字体をそのまま手書きで再現することにこだわるより、文字の骨組みを崩さず、相手が読みやすいよう丁寧に書くことを意識するとよいでしょう。
印刷文字と手書き文字で「令」の形が違う理由

同じ「令」なのに印刷文字と手書き文字で形が違って見えるのは、「令」だけに起こる特別なことではありません。
印刷用の文字と手書きの文字には形の違いがある
明朝体やゴシック体などの印刷文字は、印刷物や画面上で読みやすくなるよう、それぞれの書体としてデザインされています。
一方、手書き文字には、筆やペンを動かして文字を書く中で受け継がれてきた表し方があります。
そのため、印刷された漢字をそのまま手で写したような形になるとは限りません。
読みやすさや書きやすさによって字形が変わることがある
手書きでは、筆やペンの動きに合わせて、線のつながり方や止め方などに自然な違いが生まれます。
一方、印刷文字では、文字を並べたときの見やすさや書体全体の統一感も考慮してデザインされています。
このような違いがあるため、同じ漢字でも手書きと印刷では細かな形が異なって見えることがあります。
「令」以外の漢字にも同じような違いが見られる
手書き文字と印刷文字の違いは、「令」だけに見られるものではありません。
文化庁の指針では、常用漢字について、明朝体・ゴシック体・ユニバーサルデザインフォント・教科書体などの印刷文字と、手書き文字の例を比較できるようになっています。
漢字によっては、はね・止め・線の向きなどに違いが見られる場合があります。
覚えておきたいこと
パソコンの文字と手書き文字が少し違ったときは、すぐに「間違っている」と考えず、印刷文字と手書き文字の字形の違いではないかを確認してみましょう。
「令」はフォントによってどう見え方が変わる?

同じ「令」という文字を入力していても、使用するフォントによって見た目が変わることがあります。
文化庁の字形比較表でも、明朝体・ゴシック体・ユニバーサルデザインフォント・教科書体などが比較されています。
明朝体で表示したときの「令」
明朝体は、書籍や新聞、文書などでよく使われる書体です。
一般的に、横線と縦線の太さに違いがあり、線の端に「うろこ」と呼ばれる三角形のような部分が見られるのが特徴です。
明朝体で表示される「令」は、手書きでよく使われる「マ」に近い形とは違って見えることがあります。
ゴシック体で表示したときの「令」
ゴシック体は、線の太さが比較的そろった、見やすいデザインの書体です。
スマートフォンやパソコンの画面、案内表示など、さまざまな場所で使われています。
ゴシック体でも、使用するフォントによって「令」の細かな形が異なる場合があります。
教科書体で表示したときの「令」
教科書体は、筆写するときの楷書の習慣を意識してデザインされた書体です。
そのため、明朝体などに比べると、学校で習う手書き文字に近い印象を受けることがあります。
「学校で見た『令』と、パソコンの『令』が違う」と感じたときは、使われているフォントの違いも確認してみましょう。
楷書体・行書体ではどのように見える?
楷書は、一画一画を分かりやすく書く書き方です。
一方、行書では楷書よりも線の流れやつながりが表れやすいため、同じ「令」でも見た目の印象が変わることがあります。
書道のお手本などで、普段パソコンで見ている「令」と形が違って見える場合も、書体や書き方による違いの可能性があります。
フォント名が同じでも字形が完全に同じとは限らない
「明朝体」「ゴシック体」「教科書体」は、それぞれ一つだけのフォントを指す名称ではありません。
たとえば「明朝体」に分類されるフォントだけでも複数あり、デザインは少しずつ異なります。
そのため、「教科書体なら必ずこの形」「ゴシック体なら必ずこの形」と決めつけることはできません。
| 種類 | 見え方の特徴 |
|---|---|
| 明朝体 | 書籍や文書などで見慣れた印刷文字になりやすい |
| ゴシック体 | 線の太さが比較的そろい、画面でも見やすい |
| 教科書体 | 手書きの楷書を意識した形に見えやすい |
| 楷書体・行書体 | 筆の運びや書き方によって印象が変わる |
学校では「令」をどちらの形で書けばいい?

子どもの漢字練習を見ていると、「教科書とパソコンで『令』の形が違うけれど、どちらを覚えればいいの?」と迷うことがあります。
学校で漢字を学んでいる段階では、まず教科書や学校で使っている教材の字形を参考にすると分かりやすいでしょう。
小学校では教科書の字形を参考にすると分かりやすい
「令」は、小学校4年生で学習する教育漢字です。
学習途中の子どもにとって、同じ漢字の複数の字形を一度に意識するのは難しい場合があります。
家庭で漢字練習をするときは、まず学校で使用している教科書や漢字ドリルの見本を参考にすると迷いにくいでしょう。
家庭学習では
スマホに表示された「令」に合わせて直すより、まずは学校で使っている教科書やドリルのお手本を一緒に確認すると分かりやすいでしょう。
漢字練習では教科書や学校のお手本を参考にする
小学校では、漢字そのものを覚える学習に加えて、文字を整えて書く練習も行います。
文部科学省の小学校学習指導要領解説では、漢字の指導は「学年別漢字配当表」に示された字体を基に行うことが示されています。
宿題や漢字練習帳を書く場合は、学校で使用している教科書・漢字ドリル・授業で示されたお手本を参考にするとよいでしょう。
テストで形が違うと不正解になる?
「教科書とは少し違う形で書いたら、テストでバツになるの?」という点も気になるところです。
文部科学省の小学校学習指導要領解説では、児童が書いた文字を評価する際、正しい字体であることを前提として、字体・字形についての考え方を参考に柔軟に評価することが望ましいとされています。
一方で、文字を正しく整えて書く学習などでは、指導の場面や状況に応じて一定の字形を基に学習や評価が行われる場合もあると説明されています。
つまり
「形が少し違えば必ず不正解になる」「どんな形でも必ず正解になる」と一律にはいえません。
何を確認するための問題なのか、学校でどのように学習しているかも関係します。
採点が気になる場合は学校で確認すると安心
子どもが教科書とは違う形の「令」を書いていて気になる場合は、まず教科書や漢字ドリルを確認してみましょう。
それでも判断に迷う場合は、担任の先生に「この書き方でも大丈夫ですか?」と確認すると、その学校や授業での学習方法に合わせやすくなります。
「令」の正しい書き順と画数を確認

「令」は形の違いが注目されやすい漢字ですが、基本的な画数や書き順も確認しておきましょう。
「令」は全部で何画?
「令」は5画の漢字です。
- 画数:5画
- 部首:人
- 学習する学年:小学校4年生
- 区分:常用漢字・教育漢字
画面上に表示される「令」は、線の形によって5画より多く見えることがありますが、画数は5画です。
「令」の書き順を順番に確認
学校でよく見る「マ」に近い手書きの字形では、5画で書きます。
- 1画目:上の部分を左へ払う
- 2画目:右へ払う
- 3画目:中央の点を書く
- 4画目:下の部分の最初の画を書く
- 5画目:最後の画を書いて仕上げる
実際に練習するときは、文字だけの説明よりも、教科書や漢字ドリルに載っている筆順図と一緒に確認すると分かりやすいでしょう。
なお、「令」は手書きでも字形に違いが見られます。学校で学習する場合は、現在使用している教材のお手本を参考にするとよいでしょう。
書き順を覚えるときのポイント
「何画目か」という数字だけを暗記するより、文字を上から順番に組み立てていくイメージを持つと覚えやすくなります。
まずはお手本を見ながらゆっくり書き、慣れたら見本を見ずに書いてみましょう。
上から下への流れを意識する
「令」は、上の部分から書き始め、中央、下の部分へと進みます。
上から下への流れを意識すると、書き順だけでなく文字全体の位置関係もつかみやすくなります。
「令」をバランスよくきれいに書くコツ

書き順を覚えたら、次は文字全体のバランスを意識してみましょう。
「令」は上下の中心が大きくずれると傾いて見えやすいため、文字の中心を意識するのがポイントです。
上の「人」の部分を広げすぎない
最初の2画は、中央から左右へ自然に開くように書きます。
左右に大きく広げすぎると上部だけが目立ち、下とのバランスが取りにくくなります。
お手本を見ながら、左右の広がりを確認してみましょう。
中央部分の位置をそろえる
上の部分、中央の点、下の部分が大きく左右にずれないようにすると、まとまりのある文字に見えやすくなります。
十字リーダー入りの漢字練習帳なら、縦の中心線を意識して書いてみると分かりやすいでしょう。
下の部分を大きくしすぎない
手書きで下を「マ」に近い形にする場合、下の部分だけが大きくなると全体のバランスが崩れて見えることがあります。
上の部分との幅を見ながら、中央に収めるようなイメージで書いてみましょう。
全体を縦長にまとめると整って見えやすい
「令」は、横方向に広げすぎず、文字の中心を意識すると形を整えやすくなります。
ただし、手書き文字には書き手による自然な違いがあります。
印刷された文字と寸分違わず同じ形にすることより、読みやすく、文字の骨組みを意識して書くことを大切にするとよいでしょう。
「令」を含む漢字でも形の違いは見られる?

「令」の形の違いが分かると、「令が含まれるほかの漢字はどうなるの?」と気になる方もいるでしょう。
「令」は、単独で使われるだけでなく、別の漢字の構成要素としても使われています。
「冷」「鈴」「領」などにも共通する部分がある
たとえば、次のような漢字には「令」と共通する部分があります。
文化庁の指針でも、「令」や「鈴」などに共通する構成要素について触れられています。
「令」の字形の違いを知っておくと、こうした漢字を見たときにも、「印刷文字と手書き文字の違いかもしれない」と考えやすくなります。
同じ部品でもフォントによって形が変わって見える
漢字の一部分についても、使用するフォントによって細かな形が違って見える場合があります。
そのため、「令」そのものだけでなく、「令」と共通する構成要素を含む漢字でも、画面表示と手書きのお手本に違いを感じることがあります。
漢字は細かな形だけで正誤を判断しないことも大切
文化庁は、字の細部に違いがあっても、その漢字の骨組みが同じであれば、同じ字体の範囲で考えられる場合があることを示しています。
「はねているか」「止めているか」「線の向きが少し違う」といった細かな部分だけを見て、機械的に別の漢字と判断する必要はありません。
ただし、骨組みそのものが変わり、別の漢字に見えるほど形を崩してしまう場合は別です。
「細部」と「骨組み」を分けて考える
印刷文字と手書き文字を比べるときは、線一本の細かな違いだけではなく、同じ漢字として認識できる骨組みになっているかを見ることがポイントです。
「令」の書き方で迷ったときの確認方法
「結局、今はどの形を書けばいいの?」と迷った場合は、使う場面に合わせて確認すると分かりやすくなります。
| 場面 | 確認するとよいもの |
|---|---|
| 学校の漢字練習 | 教科書・漢字ドリル・授業のお手本 |
| パソコンでの表示 | 使用しているフォント |
| 手書きの書類 | 印刷字体と同じ形にすることにこだわらず、読みやすく丁寧に書く |
学校では教科書や漢字ドリルを確認する
学校の宿題や漢字練習で迷ったときは、まず教科書や学校で使用している漢字ドリルのお手本を見てみましょう。
家庭でも同じお手本を参考にすることで、子どもが書き方に迷いにくくなります。
パソコンではフォント名も確認する
パソコン上で「令」の形が想像していたものと違う場合は、使用中のフォントを確認してみましょう。
同じ「令」という文字でも、明朝体・ゴシック体・教科書体など、フォントを変更すると見た目が変わることがあります。
「違う文字を入力してしまった?」と思ったときも、まずは文字そのものではなく、フォントによる字形の違いではないか確認してみるとよいでしょう。
まとめ|「令」は手書きと印刷で形が違って見えることがある

「令」は、印刷文字と手書き文字で形が違って見えることがある漢字です。
特に、パソコンなどでよく見る形と、下の部分を「マ」に近い形で書く手書きの形は、「どちらが正しいの?」と迷いやすいポイントです。
この記事のポイント
- 「令」は代表的に2通りの形が目につきやすいが、字形が厳密に2種類だけという意味ではない
- 印刷文字と手書き文字には、それぞれの表し方の習慣がある
- 手書きで下を「マ」に近い形にした「令」も使われている
- 「マ」に近い形は、単なる自己流の略字というものではない
- フォントによって「令」の見え方が変わることがある
- 「令」は5画で、小学校4年生で学習する漢字
- 学校での学習では、教科書や使用中の教材のお手本を参考にすると分かりやすい
- テストでは、字形の細かな違いだけで一律に判断されるとは限らないが、学習内容に応じて一定の字形を基に評価する場合もある
文化庁は、手書き文字と印刷文字には表し方の習慣の違いがあり、一方だけが正しいわけではないと説明しています。
パソコンの「令」と手書きの「令」が違って見えても、すぐに「片方が間違っている」と考える必要はありません。
学校で書くときは教科書や漢字ドリル、パソコンで見た目が気になるときは使用しているフォントを確認すると、迷いを解消しやすくなるでしょう。
「令」の形が違って見えて迷ったら、まずは「印刷文字と手書き文字の違いかもしれない」と考えてみましょう。
学校の漢字練習なら、今使っている教科書やドリルを確認すると分かりやすいでしょう。
