旅行や出張の話題で、ときどき耳にする「定宿(じょうやど/じょうしゅく)」と「常宿(じょうやど)」という言葉。
なんとなく「よく泊まる宿」というイメージはあるけれど、
「2つはどう違うの?」「使い分けって必要?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、辞書的な意味としてはどちらも「いつも決まって泊まる宿」で、大きな意味の違いはありません。
ただ、実際の会話や文章の中では、選ぶ言葉によって少しだけ印象やニュアンスが変わることがあります。
この記事では、
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- 「定宿」と「常宿」の基本的な意味と読み方
- 日常会話・ビジネスシーンでの自然な使い方
- ちょっと気をつけたい誤用例
- 一緒に知っておきたい関連語(行きつけ・拠点・御用達など)
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まで、初心者の方にもわかりやすく、例文を交えながらやさしく解説していきます。
まずおさえたい!「定宿」と「常宿」の基本と読み方

どちらも意味はほぼ同じ:「いつも泊まる宿」
国語辞典では、「定宿」「常宿」はどちらも『いつも決まって泊まる宿』という意味で説明されています。
何度も利用しているホテルや旅館、ビジネスホテルなどをまとめて指す言葉だと考えて大丈夫です。
たとえば、次のような宿は「定宿/常宿」と呼びやすい例です。
- 毎月の出張で必ず泊まるビジネスホテル
- 毎年の家族旅行で利用している温泉旅館
- 推し活やイベント遠征のときにいつも利用するホテル
「特別な高級宿だけが“定宿・常宿”になる」というわけではなく、
「自分にとって、いつも同じ場所に泊まっている」という実感があれば、十分「定宿」「常宿」と呼べます。
読み方は?「ていしゅく」ではなく「じょうやど」が一般的
「定宿」は漢字だけ見ると「ていしゅく」と読みたくなりますが、
一般的な読み方は「じょうやど」または「じょうしゅく」です。
- 定宿 … じょうやど/じょうしゅく
- 常宿 … じょうやど
会話では「じょうやど」と読むことがほとんどで、
ニュースや雑誌などでも「じょうやど」と読む前提で使われることが多いです。
漢字の違いから感じられる、わずかなニュアンス
辞書的な意味はほぼ同じですが、漢字のイメージから次のように感じる人もいます。
- 定宿:「定める」「決めている」という漢字から、
少し実務的・ビジネスライクな印象 - 常宿:「常に」「いつも」という漢字から、
なじみ・親しみ・常連といったやわらかい印象
とはいえ、これはあくまでニュアンスレベルの話であり、
「こういうイメージで使われることが多い」といった傾向だと考えると安心です。
使い分けは必要?結論:そこまで神経質になる必要はない
「定宿と書くべきか、常宿と書くべきか」で悩んでしまうかもしれませんが、
意味はほぼ同じなので、どちらを使っても大きな間違いではありません。
そのうえで、もし迷ったら次のように選ぶとスッキリします。
- 堅めの文章・ビジネス寄り → 定宿
- 少し情緒的・親しみを込めたいとき → 常宿
どちらか一方だけが「正しい」というわけではないので、
文脈と自分の感覚に合うほうを選べば大丈夫です。
「定宿」を使うと自然に聞こえるシーンと例文
ビジネス出張での「定宿」は安定感のある表現
仕事で同じエリアに何度も出張に行く人には、「定宿」という言葉がとても便利です。
設備や料金、立地などが分かっている宿を選ぶことで、
「いつもの安心できるホテルに泊まる」というイメージを伝えられます。
ビジネスでの例文:
- 「大阪出張のときは、いつも同じビジネスホテルを定宿にしています。」
- 「東京には定宿があるので、宿探しに時間をかけずに済みます。」
- 「このホテルは会社の先輩たちも定宿にしているところなんですよ。」
プライベート旅行での「定宿」は“お気に入りの宿”のイメージ
家族旅行やおひとり様旅でも、「定宿」という言葉はよく使われます。
毎年の記念日に泊まる宿、お気に入りの温泉宿など、
「ここに泊まると落ち着く」「また戻ってきたくなる」と感じる場所にぴったりです。
プライベートでの例文:
- 「あの温泉旅館は、もう10年以上の定宿なんです。」
- 「北陸へ行くときは、必ずこの宿を定宿にしています。」
- 「学生時代から、友人との集まりはあのペンションが定宿です。」
「定宿にする」以外の自然な言い回し
同じ表現ばかりだと単調になってしまうので、文章にするときは
言い回しを少し変えてあげると読みやすくなります。
- このホテルを定宿として利用しています。
- 出張のときは、いつも決まった宿に泊まります。
- お気に入りの旅館を定宿に選びました。
SNSや口コミで見かけるカジュアルな使い方
最近は、旅行サイトの口コミやSNSの投稿でも「定宿」という言葉がよく使われています。
- 「推し活遠征のホテルは、ここが完全に定宿。」
- 「コスパが良すぎて、出張のたびに定宿化してる。」
このように、かしこまりすぎず、日常的な言葉としても使えるのが「定宿」です。
「常宿」が持つ“なじみ感”と、上品に聞こえる使い方
「常宿」は、より親しみや情緒を感じさせる言葉
「常宿」も意味は「いつも泊まる宿」ですが、
どこか情緒的で、なじみの深さを感じさせる表現として使われることがあります。
たとえば、こんな場面です。
- 毎年の記念日に通っている老舗旅館
- オーナーや仲居さんと顔なじみになった温泉宿
- 「おかえりなさい」と迎えてくれるようなアットホームな宿
「常宿にしています」というと、
ただ便利だから泊まるというよりも、
「その宿が好きで、関係性も含めて大切にしている」といったニュアンスが伝わります。
「常宿」を使った上品な例文
- 「箱根に行くときは、決まってこの宿が常宿です。」
- 「若いころからの常宿で、女将さんともすっかり顔なじみになりました。」
- 「祖父母の常宿だった旅館に、今は私たち家族が通っています。」
ほかの言い方でやわらかく表現するなら
「常宿」という言葉自体に少し“文語的”な印象を持つ人もいます。
もっと日常的な言い方にしたい場合は、次のような表現も使えます。
- なじみの宿
- 行きつけの宿
- いつもの旅館/いつものホテル
メールやSNS、ブログなど、場面に合わせて表現を変えてあげると自然です。
ここは気をつけたい!「定宿」「常宿」の誤用と違和感が出るパターン
一度しか泊まっていない宿を「定宿」と呼ぶのは不自然
「定宿」「常宿」には、どちらも「何度も泊まっている」というイメージがあります。
そのため、初めて泊まった宿や、一度きりの利用で「定宿」と言ってしまうと、聞き手に違和感を与えてしまいます。
違和感のある例:
- (初めて利用した宿なのに)「ここが定宿です」
自然な言い方:
- 「今回泊まって、とても気に入ったので、これから定宿にしたいと思っています。」
サービスに不満なのに「常宿」と言うと矛盾してしまう
「常宿」という言葉には、
その宿を好んで選んでいる・なじみがあるというイメージが含まれます。
そのため、不満だらけのレビューやクレームと一緒に使うと、読んでいる側は「なぜ通い続けているの?」と感じてしまいます。
違和感のある例:
- 「ここは料理もサービスも最低レベルだが、常宿にしている。」
自然な表現にするなら:
- 「以前はよく泊まっていたが、最近はサービスに不満があり、別の宿を探している。」
ビジネスメールでは説明的な表現にするのも安心
取引先へのメールなど、フォーマル度が高い場面では、
「定宿」「常宿」という言葉を避けて、もう少し説明的な表現にすることもできます。
- 「出張の際に、いつも利用しているホテルがございます。」
- 「毎回同じ宿泊先を利用しており、勝手が分かっているため助かっております。」
こうした表現なら、相手にも分かりやすく、誤解も生まれにくくなります。
あわせて覚えたい!「定宿」「常宿」と近い意味を持つ言葉
「拠点」「常連」「お得意様」「御用達」などとの違い
「よく利用する」という点では似ていても、
それぞれ指している立場や対象が少しずつ異なります。
- 拠点:活動の中心となる場所・ベースとなる場所。
宿泊施設に限らず、オフィスや実家などにも使う。 - 常連:お店側から見た「よく来るお客さん」。
- お得意様:店側が使う、よく利用してくれる大切なお客様。
- 御用達:特定の人物・組織に選ばれ、よく使われている店やブランド。
「定宿」「常宿」は、“自分がよく泊まる宿”という視点の言葉ですが、
「常連」「お得意様」などは、お店や宿側の視点から使われることが多い言葉です。
カジュアルな「ホーム」「行きつけ」「ベース」
日常会話やSNSでは、もっとカジュアルな表現もよく使われます。
- 「ここが私の行きつけの宿です。」
- 「大阪遠征のときは、このホテルがホーム。」
- 「この街に来るときは、いつもこのゲストハウスをベースにしています。」
少しくだけた雰囲気にしたいときや、
旅好きさん同士の会話では、こうした言葉も使いやすいですね。
語彙が増えると、伝えたい気持ちに“ぴったり”の表現が見つかる
「定宿」「常宿」だけでなく、
「ホーム」「行きつけ」「拠点」といった言葉も一緒に覚えておくと、
文章や会話の中で細かなニュアンスまで表現しやすくなります。
ケース別で考える:「定宿」と「常宿」どちらを使う?
出張が多いビジネスパーソンの場合
仕事の話題では、少し堅めの「定宿」のほうがしっくりくることが多いです。
- 「名古屋には定宿があるので、宿探しの手間が省けます。」
- 「このホテルを定宿にしているおかげで、チェックインもスムーズです。」
家族で毎年訪れる温泉旅館の場合
家族の思い出や、宿とのあたたかい関係性を表現したいなら、「常宿」もよく合います。
- 「ここは、両親の代から通っている常宿です。」
- 「子どもが小さいころからお世話になっている常宿なので、とても安心感があります。」
もちろん、ここでも「定宿」と言い換えても大きな違いはありません。
どちらを選んでも、意味としては伝わります。
プロフィールやコラムで上品に表現したいとき
エッセイやコラム、プロフィール文の中では、
少し雰囲気のある「常宿」という言葉が似合うこともあります。
- 「海辺の小さなホテルを常宿と決めてから、旅のスタイルが変わりました。」
SNSやブログでは、自分らしい言葉を選んでOK
SNSや個人ブログなら、
・「定宿」「常宿」をそのまま使う
・「行きつけ」「ホーム」といったカジュアルな表現にする
など、自分の文体に合わせて選べば大丈夫です。
まとめ:意味はほぼ同じ、気持ちと文脈で“しっくりくる”ほうを選ぼう
「定宿」と「常宿」に絶対的な正解はない
「定宿」と「常宿」は、どちらも『いつも決まって泊まる宿』という意味を持つ言葉です。
辞書レベルで見れば、大きな違いはありません。
そのうえで、
- 少しビジネス寄り・実務的な印象 → 定宿
- なじみ・情緒・親しみのある印象 → 常宿
のように、自分が伝えたい雰囲気に合わせて選ぶとしっくりきます。
日常でもビジネスでも、言葉選びで印象はやさしく変えられる
ほんの一言を選び替えるだけで、
・かたい印象になったり
・ぐっと親しみやすくなったり
と、相手に伝わる雰囲気が変わります。
「定宿」「常宿」という言葉は、
そんな“言葉のニュアンス”を意識するきっかけにもなります。
これから宿の話をするとき、ぜひ気楽に使い分けを楽しんでみてくださいね。

