贈り物を渡すとき、
「この言い方で失礼にならないかな?」
「丁寧にしたつもりが、逆に変に聞こえない?」
と不安になることはありませんか。
とくに仕事関係や目上の方への贈り物では、言葉選びに気をつかう場面が多いものです。ちょっとした一言でも、相手との関係性や場の雰囲気によって、受け取られ方が変わってしまうことがあります。そのため、「できるだけ丁寧に」「失礼のないように」と考えれば考えるほど、表現に迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
敬語は少し難しく感じがちですが、基本の考え方を押さえておけば、必要以上に悩む必要はありません。 大切なのは、難しい言葉を使うことではなく、相手への気遣いが自然に伝わる表現を選ぶことです。
この記事では、「贈り物」をへりくだって伝えたいときの表現について、初心者の方にも分かりやすいよう、例文を交えながらやさしく解説します。ビジネスシーンはもちろん、改まった場面でも安心して使える言い回しを中心に紹介しますので、「これで大丈夫かな?」と不安な方も、ぜひ参考にしてみてください。
結論を先に|贈り物をへりくだって伝えるなら、この表現が基本

一般的には、**「お贈りいたします」**という表現が、もっとも無難で幅広く使われています。
この言い回しは、「贈る」という行為を控えめに伝えつつ、相手に対する敬意もしっかり表せるため、さまざまな場面で使いやすいのが特徴です。特定の業界や立場に限定されにくく、初対面の相手やあらたまったやり取りでも、失礼に感じられにくい表現といえるでしょう。
- 目上の方にも使いやすい
- 口頭・文章どちらでも自然
- ビジネスや改まった場面にも対応できる
また、「お贈りいたします」は、言い切りの形でありながらも強すぎる印象を与えにくく、やわらかさと丁寧さのバランスが取りやすい点も安心材料のひとつです。そのため、敬語表現に自信がない方でも取り入れやすく、覚えておくと役立つ基本表現といえます。
迷ったときは、この表現を選ぶと安心しやすいでしょう。
そもそも謙譲語とは?贈り物の表現で迷わなくなる基本ルール

謙譲語とは、自分の行動を控えめに表現することで、相手を立てる言い方です。相手を直接ほめたり持ち上げたりするのではなく、自分を一段低い立場に置くことで、結果として相手への敬意を示すのが特徴です。
「贈り物」の表現でも、この考え方は同じです。
- 相手を過剰に持ち上げる言葉を選ぶ
というよりも、 - 自分の行為をへりくだって伝える
という意識を持つと、言葉選びに迷いにくくなります。
たとえば、
- 「贈ります」という表現は意味としては間違いではありませんが、少し事務的で素っ気ない印象を与えることがあります。
- それに対して「お贈りいたします」は、行為を控えめに表現できるため、相手への配慮が感じられやすくなります。
このように、同じ内容を伝えていても、謙譲語を使うかどうかで、受け取る側の印象は大きく変わることがあります。
ここが大切
敬語は、数を増やせば丁寧になるというものではありません。丁寧にしようとして言葉を重ねすぎると、かえって回りくどく感じられたり、不自然な印象を与えてしまうこともあります。**「分かりやすく、気持ちが伝わるかどうか」**を基準に考えると、自然で安心感のある表現を選びやすくなるでしょう。
場面で変わる!贈り物を伝える謙譲表現の使い分け

贈り物の伝え方は、相手との関係性や場面、伝える手段によって少しずつ使い分けると、より自然で心のこもった印象になります。同じ品物であっても、状況に合った言い回しを選ぶことで、相手に配慮が伝わりやすくなります。
- 直接手渡しする場合
直接顔を合わせて渡すときは、ひと言添えるだけでも印象がやわらぎます。
例:「こちら、ささやかではございますが、お贈りいたします」
控えめな言い回しを使うことで、相手に気を遣わせにくくなります。 - 郵送・配送する場合
手渡しができない場合は、配送であることが分かる表現を選ぶと親切です。
例:「別便にて品物をお届けいたします」
事前に一言伝えておくことで、受け取る側も安心しやすくなります。 - 書面やメールの場合
文章で伝える場合は、簡潔で落ち着いた表現が好まれます。
例:「心ばかりの品をお贈りいたしました」
文章ならではの丁寧さを意識すると、やさしい印象になります。
気をつけたいポイント
かしこまりすぎた表現は、相手との関係性によっては距離を感じさせてしまうことがあります。とくに親しい間柄や日常的なやり取りでは、丁寧さを保ちつつも、少しやわらかさを残した言い回しを意識すると自然です。相手の立場や場の雰囲気を思い浮かべながら、無理のない表現を選ぶことが大切でしょう。
それ、実は注意が必要?贈り物の敬語でよくある例

丁寧にしようと意識するあまり、次のような表現を使ってしまうことがあります。
- 「お贈りさせていただきます」
- 「差し上げさせていただきます」
これらの表現は、文法的に明らかな誤りというわけではありません。ただし、謙譲語と丁寧語が重なった形になっているため、場面によっては少し回りくどく感じられたり、聞き手に違和感を与えてしまうことがあります。
とくに、相手からの許可や依頼を前提としない場面では、「させていただく」という言い回しが必要以上にへりくだって聞こえ、「丁寧にしすぎている」という印象を持たれる可能性もあります。その結果、かえって言葉が不自然に響いてしまうことがあるのです。
ビジネスシーンでは、
「お贈りいたします」や「お渡しいたします」など、意味が分かりやすく、落ち着いた表現の方が安心して使える場合が多いでしょう。相手に配慮しつつも、言葉を重ねすぎないことが、結果として丁寧で好印象につながりやすくなります。
そのまま使える|シーン別・贈り物の例文集

実際に使いやすい表現を、場面ごとにまとめました。どれも無理のない言い回しなので、状況に合わせてそのまま使ったり、少し言葉を調整したりして活用できます。
お礼として品物を渡すとき
日頃の感謝の気持ちとして、心ばかりの品をお贈りいたします。
感謝の気持ちを伝えつつ、相手に気を遣わせにくい控えめな表現です。ビジネスシーンはもちろん、少し改まった個人的なお礼の場面でも使いやすい言い回しといえるでしょう。
お詫びの気持ちを伝えたいとき
このたびのお詫びのしるしとして、ささやかな品をお贈りいたします。
必要以上に言葉を重ねず、誠意が自然に伝わりやすい表現です。お詫びの場面では、簡潔で落ち着いた言い方を選ぶことで、相手にも受け取ってもらいやすくなります。
季節のご挨拶(お中元・お歳暮)
日頃の感謝を込めまして、ささやかながらお品をお贈りいたしました。
書面やメールにも使いやすい、定番の表現です。形式ばりすぎず、それでいて丁寧さも感じられるため、毎年のご挨拶として安心して使える言い回しといえるでしょう。
会社として記念品を贈るとき
記念の品ではございますが、どうぞお受け取りください。
個人の気持ちを前面に出しすぎず、会社としての立場を意識した控えめな表現です。式典や節目の場面でも使いやすく、きちんとした印象を与えやすい言い回しです。
言葉だけじゃない|贈り物で印象を良くするマナーと配慮

言葉遣いが丁寧であっても、渡すタイミングやその場での態度によって、相手の受け取り方や印象は大きく変わることがあります。どれだけ正しい敬語を使っていても、状況に合っていなければ、気持ちが十分に伝わらないこともあるため注意が必要です。
たとえば、相手が忙しそうなときや、周囲に人が多い場面では、落ち着いて品物を受け取ってもらえないことがあります。そのため、贈り物を渡す際には、相手の状況を一度立ち止まって考えることが大切です。
- 相手が落ち着いて受け取れるタイミングを選ぶ
- 一言添えることで、気遣いや配慮がより伝わりやすくなる
- 書面やメールでは、長くなりすぎないよう簡潔さを意識する
このような点を意識するだけでも、贈り物に対する印象はぐっと良くなります。言葉と行動が自然にそろっていると、相手にも安心感を持って受け取ってもらいやすくなるでしょう。
実践アドバイス
メッセージカードを添える場合は、長文で思いを綴るよりも、短く気持ちをまとめた一文の方が、読みやすく好印象につながりやすい傾向があります。
たとえば、「ささやかではございますが、感謝の気持ちを込めてお贈りいたします」といった一文だけでも、十分に心遣いは伝わります。相手に負担を感じさせないことを意識しながら、無理のない範囲で気持ちを添えると、よりやさしい印象になるでしょう。
よくある疑問Q&A|贈り物の敬語で迷ったときは?

贈り物の敬語については、「これで本当に大丈夫?」と細かい部分が気になる方も多いものです。ここでは、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。迷いやすいポイントを整理することで、実際の場面でも落ち着いて言葉を選びやすくなります。
Q. 目上の人でも簡単な表現で問題ありませんか?
相手との関係性や場面にもよりますが、無理に難しい言葉を使うより、自然で丁寧な表現の方が安心して受け取ってもらえることが多いでしょう。とくに日常的なやり取りでは、形式ばりすぎない言い回しの方が、かえって好印象につながる場合もあります。
大切なのは、言葉そのものよりも、相手を思いやる気持ちが伝わるかどうかです。落ち着いた態度とともに伝えることで、簡単な表現でも十分に丁寧さは感じてもらえるでしょう。
Q. 社内の上司にも謙譲語は必要ですか?
改まった場面では使うと丁寧ですが、日常的なやり取りでは、関係性に合わせて調整すると自然です。会議や正式な文書では謙譲語を意識し、普段の会話では少しやわらかい表現にするなど、場面ごとに使い分けると無理がありません。
相手との距離感や職場の雰囲気を考えながら言葉を選ぶことで、必要以上に堅くならず、安心感のあるコミュニケーションにつながります。
まとめ|正しい謙譲語より大切なのは「相手への気遣い」

「贈り物」の謙譲語は、基本となる考え方を押さえておけば、決して難しいものではありません。大切なのは、正解の言葉を完璧に覚えることよりも、相手の立場や気持ちを思い浮かべながら表現を選ぶことです。
とくにビジネスシーンや改まった場面では、「失礼があってはいけない」と考えるあまり、言葉選びに慎重になりすぎてしまうこともあります。しかし、丁寧さを意識するあまり不自然な表現になってしまっては、本来伝えたい気持ちが伝わりにくくなってしまいます。
そのようなときは、次のポイントを意識してみてください。
- 迷ったときは「お贈りいたします」を選ぶ
- 丁寧さよりも自然さを意識する
- 言葉と一緒に、気持ちも添える
これらを心がけるだけでも、相手に与える印象は大きく変わります。完璧な敬語を使おうとするよりも、「相手にとって心地よいかどうか」を基準に考えることで、無理のない表現を選びやすくなるでしょう。
相手を思いやる気持ちがあれば、言葉は自然とやさしく伝わっていきます。今回ご紹介した考え方を参考に、場面に合った表現を選びながら、安心して贈り物の気持ちを伝えてみてください。

